村上春樹「三つの短い話」(文學界7月号)

このところちょっと難しい仕事が続き、時間的な制約と、自分の限りある脳のキャパシティを節約するために、なるべく外部からの刺激を受けないようにひっそりと過ごしておりました。

毎年この時期は好きな紫陽花を愛でるためカメラ片手に散歩を楽しむのですが、今年はそれすら出来ず、紫陽花は早くも萎れた姿となりつつあります。

 

先日、母が「村上春樹の新作短編が発表になったの、読んだ?」と電話で言うのですが、その情報を私は全く把握しておらず、母が何か別の話と混同しているのでは?いよいよ認知力が危なくなってきたか・・とさえ思ったわけですが、認知力が衰えていたのはこっちの方でした。

6月初めに出ていました。

最新短編 3作同時掲載「三つの短い話」創作/村上春樹 (文學界7月号/文藝春秋)
<石のまくらに>
<クリーム>
<チャーリー・パーカー・プレイズ・ボサノヴァ>

村上春樹「三つの短い話」文學界7月号

知らなかったなー。どれだけ世界から心を閉ざしていたんだろう、私。

母は情報を掴むのは早かったものの、どこの出版社から出たか、などの詳細情報を探せていなかったので、私が検索して本の表紙の画像とともに情報をメール。

昨日、それぞれに本屋に出かけて入手したところ。

 

いかにも村上春樹らしい短編集で、過去の作品との関連も感じさせつつ新しい要素も加わっていて、それぞれに味わい深い作品に仕上がっています。

私は<石のまくらに>が好みでした。

村上春樹文学が嫌いな人には最も嫌がられる、簡単にベッドインする展開から始まりますが、短歌が登場するのがちょっとユニークな印象。死の気配が色濃く、冬の寒さや一人暮らしの孤独感と相まって、とても切ない。

 

三つの作品どれもが、少年〜青年時代の記憶を後で思い出す形式となっています。

この年頃の記憶というのが、村上春樹にとって重要なのか、それとも誰にとっても「軸」のように存在するものなのか、わかりませんが、こうして私が村上春樹作品が出るたびに、必ず購入しては繰り返し読むのもまた、この年頃に大切な友人であった人が同じように村上春樹ファンであり、数年に一度しか会うことが出来ないけれども、その時には作品についての彼の感想を理解することが出来るように、というためでもあります。

 

ジャズに詳しい方は、三番目の作品<チャーリー・パーカー・プレイズ・ボサノヴァ>が楽しめるのだろうと思うけれど、私は全然詳しくないので、今ひとつ面白さがわからない。

誰か、この物語を古楽ヴァージョンにアレンジしてくれないかしら?

 

いずれも短編なので、村上春樹の長編小説に挫折した方にもおすすめ。

こちらの短編集も大好き。

 

 

もっと早い時期にこういうことを知っていれば人生違っていたかも、と思う仕事論が満載。

定期的に読み返す。

 

今すぐ走りたくなる(けど、私は膝を痛めそうだから、自重してウォーキングで我慢)本。

 

・・・キリがないからこれで紹介おわり。