『7人のシェイクスピア』(ハロルド作石)にリュート奏者登場
昨年末から再連載されているハロルド作石氏の『7人のシェイクスピア』、2月20日発売号にいよいよリュート弾きが登場します。
これまでのあらすじと登場人物
『7人のシェイクスピア』の再開までの経緯については、こちらの記事をご覧ください。
この号から読む方のために、簡単に登場人物を紹介すると、
●ランス・カーター(W.シェイクスピア)片田舎に生まれた青年。富と権力を手に、自由を掴むという大いなる野望を抱く。
●ワース・ヒューズ(J.クーム)ランスの無二の親友。商売の才能に長け、チームを財政面から支える。
●ミル(ラドクリフ司祭)ランスたちの身の回りの世話を焼く。その正体は、政府に弾圧されるカトリックの司祭。
●リー(中国人の少女)人の運命を見通す不思議な力の持ち主。その言葉は「詩」となって、チームの重要な戦力に。
●トマス・ソープ(ケンブリッジ大学を中退したインテリ)本を売り歩く行商人。ランスたちを怪しみつつも外国の本など貴重な文献をもたらす。
ヤングマガジンで再開された第2部は、シェイクスピアとその仲間たちがロンドンに乗り込み、各劇団に脚本を持ち込むことから始まります。
しかしながら、どこへ持ち込んでもことごとく断られ、上手くいきません。
第8話のタイトルはずばり「羊の腸」
脚本家マーロウが人気絶頂の中、それに対抗するためシェイクスピアは仲間たちの才能を結集します。
そして新しい脚本『ヴェニスの商人』がまもなく完成、というところから今週号の話は始まります。
脚本は順調に進むのですが、もう一味足りない。
そこへ聞こえてきたリュートの音色!
それを弾いていたのはアン。
夫の DVにたまりかねて息子カインと共に逃げてきて、シェイクスピアたちの共同生活に身を寄せている女性です。
前号から仲間に加わりました。
タイトルにもなっている通り、リュートの弦が羊の腸=ガットであることが強調されているのですが、
リュートという楽器の説明であると同時に、
詩作を担当するリーに「“羊の腸”で人間の身体から魂が引き出せるなんて面白いですね」という「から騒ぎ」の台詞を言わせるための伏線とも考えられます。
これについては昨年夏に書いたブログ記事もご参照ください。
作画資料として写真撮影に協力しました
毎回冒頭に「この物語は史実を元にしたフィクションです」とか
「『強欲なユダヤ人の高利貸し』など、今日的観点からは非道徳的かつ不適切な表現を含みますが、本企画に不当な差別を助長・温存する意図は全くありません」の註が付いていたりして、
コミックとしてはかなり時代考証にも力を入れている様子がわかります。
その姿勢は楽器の描写についても同様で、
シェイクスピア時代のリュートを弾いているところを写真撮影し、それを資料として作画する、という丁寧な手法が用いられています。
その撮影に私が協力することになり、昨年10月講談社内のスタジオで撮影が行われました。
いろんなシーンを想定して360度の角度から、膨大な数の写真が撮影されました。
漫画に登場する小道具にしては、今回かなり大きくリュートが取り上げられています。
複弦であることはもちろん、ペグの細工や装飾まで緻密にそして正確に描写されています。
参考写真を載せておきますので、ヤングマガジンを購入してくださった方、比較してお楽しみください。
アンがテーブルに向かってリュートを弾いているシーン。
この撮影の時(この漫画に関してでなく)「リュートの持ち方と右手の位置」という点で発見がありました。
これについてはまた改めて書きます。
「あ、すいません、つい・・・夕食のお仕度します。」のシーン。
ちょっとドジで家事が苦手なアンの正体は・・・。
リュートを弾く人物としてなるほどね、と思わせる設定がなされています。
コンビニ・書店へGo!
ヤングマガジン今週号の表紙です。
右下部分のルネサンス風衣装のシェイクスピアが全体の中で浮きまくっていますね。
ハロルド作石先生の果敢な挑戦を賞賛し、順調に連載されていきますようお祈りしております。
コンビニや書店で販売中ですので、どうか皆様も購入して応援をよろしくお願いいたします。
第1部はすでに単行本になっています。
カトリックvs.プロテスタント事情、そしてシェイクスピアの謎の空白期間を想像豊かに描いた作品となっています。衣装の描写も楽しい。