【本】シェイクスピアの時代のイギリス生活百科

シェイクスピアの時代のイギリス生活百科

『シェイクスピアの時代のイギリス生活百科』
イアン・モーティマー/著
市川恵里・樋口幸子/訳
河出書房新社

 

厚さ5センチほどの分厚い本で、熟読できないうちに図書館の返却日が来たので、
取り急ぎ、自分用メモも兼ねて。

原題は『The time traveller’s guide to Elizabethan England』。
作者、イアン・モーティマー氏は王立歴史学会のフェロー。

この時代の風景、人々の様子、宗教、衣服、宿泊、法律、娯楽、衛生学・医療などについて、
事細かく記載されている。

エリザベス一世を始めとする王室や貴族など身分の高い人々については、
記録が残っているであろうと容易に想像がつくわけだが、
一般庶民がどのような生活を営んでいたのかについては、
映画にもなりにくく、意外と知る機会がない。

特に、当時の衛生状況についての情報が生々しく、
文章から臭気がにおい立つようで、時々本を閉じたくなるほどであった。
何とまあ人間は色々な苦難を克服して生きてきたんだろう・・と
感慨深い。

音楽については「娯楽」の章を中心にまとめられている。
リュートもダウランドの名前も登場する。

「あとがき」での
「・・シェイクスピアは私たちの中にある実に多くの感情に声を与えてきた。
彼の書いたものは、人間理解への道において最大の貢献をなしとげた。」

「歴史とは必ずしも過去に関するものではない。
それは時の経過の中で人類を理解することに関わっている。」

という作者の言葉が沁みる。