ロバに教わる「リュートを弾くことは歌うこと」
ほるぷ出版の「ロバのおうじ」には、ロバがリュートを弾くシーンが何度も出てきます。
その音楽は「曲」と訳されることはなく全て「歌」と訳されています。
「ロバの王子は早速、自分の新しい歌をお妃様に奏でて聞かせました。とても優しくうっとりするような歌でした。」
お姫様にリュートを披露するシーンでは「こんなに綺麗な歌、わたし初めて聴いたわ!」といった具合です。
挿絵を見ると「弾き歌い」をしているようにも見えますが、全体を通してのニュアンスとしては「メロディー」という意味で「歌」が使われ、あくまでロバの王子は「リュートを弾く」のがメインです。
この前、英語版を入手したので確認すると、リュートで弾くのは全てsongs、せせらぎの「調べ」にはmusic、がっかりした「調子」にtuneが対応しています。
文学的な表現として、原作者や翻訳者が工夫なさった結果と思われますが、偶然にも、ルネサンス音楽では歌と器楽が分離していない、演奏する場合にはその区別が指定されていないことを考え合わせると、なかなか素敵な言葉づかいだと思います。
「歌ごころ」を大切に。自由自在に、歌うようにリュートが弾けたら良いですよね。
次の「ロバのおうじ」公演まで2週間!
「ロバのおうじ」書籍情報
グリム童話より M.ジーン・クレイグ(再話)もきかずこ(訳)
バーバラ・クーニー(絵)ほるぷ出版
価格:本体1311円(+消費税)
絵本「ロバのおうじ」の入手方法
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