【報告】朗読音楽会「ロバのおうじ」@衎芸館・佐藤春夫訳「みにくいあひるの子」初演
2019年11月22日(金)東京・荻窪にあるサロン衎芸館での朗読音楽会「ロバのおうじ」公演は満席のうちに無事終了いたしました。雨模様の中、ご来場下さったお客様、運営に関わって下さった皆様、どうもありがとうございました。
公演情報▼
「朗読ことほぎ」主宰の山本寿実さんと
朗読を担当して下さった山本寿実さんと一緒に、記念撮影。
山本寿実さんは「朗読ことほぎ」を主宰し、積極的な朗読活動をなさっています。
山本さんのファンのお客様、一緒に朗読活動をなさっているお仲間がたくさんご来場下さり、お蔭で大盛会となりました。
プロフィールに「派手な演出や技巧に頼らない、言葉の持つ力を素直に引き出す朗読を目指している。」と記載なさっていますが、まさにその通りの魅力的な朗読をご披露下さいました。
ささやかな音量のリュートでは、どう頑張っても派手な演出は無理ですし、このような山本さんの朗読に対する姿勢はリュートには本当にぴったりで、私も深く共感するものです。
フェルト人形のロバくんが受付番を。
アンデルセン原作「みにくいあひるのこ」初演
「ロバのおうじ」に先立つプログラム第一部では、アンデルセン原作・佐藤春夫翻訳の「みにくいあひるの子」を初演しました。脚本は山本寿実さん。
合わせるリュート作品は、フランドル・フランスものを中心に選曲しました。
私の頭の中では、アヒルたちはブリュージュあたりの川辺を泳いでいます。
(アンデルセンはデンマークの人だけど)
今回採用した佐藤春夫訳は青空文庫には収録されておりませんが、菊池寛による翻訳は収録されています。
もし「『みにくいあひるの子』ってどんな話だったっけ?」と思った方は、ぜひ読んでみて下さい。
冒頭からその美文に痺れますよ。
『醜い家鴨の子』菊池寛訳
▼角野栄子訳「みにくいあひるの子」。ロバート・イングペンによる挿絵が美しい絵本。
Amazonのレビュー、いじめの言葉に対する評価が興味深いです。
うーん・・・。
見せかけと真実という二面性をめぐる物語
「ロバのおうじ」と「みにくいあひるのこ」、簡単に言うと、どちらも「外見と内面」あるいは「見せかけと真実」という二面性をテーマとしている物語でしょう。
しかしながら、この2つの物語は微妙に違うところも多く、並べてみることで、両者の共通点と相違点が鮮明になるかと思ったのです。
しかし演奏中は、すっかり「私はあひる」または「私はロバのおうじ」状態で、客観的な解釈に至っておりません。
また再演したいところです。
リュートにはぴったりのサロン衎芸館
今回初めて演奏したサロン「衎芸館」は、広さや客席数がリュートに最適のサロンでした。
特に天井が高いとか残響が長いということではないのですが、演奏者に返ってくる音響が自然な感じで弾きやすいです。
音色は「まろやか」というよりは、写真で例えるなら「シャープかけた」感じの、輪郭が際立つ印象。
そのあたりに好みが分かれるところかもしれません。