中川祥治氏によるR.ダウランド「VARIETIE OF LUTE-lessons」邦訳が完成〜!

リュート奏者で英語の専門家でもある中川祥治氏が、ブログでRobert Dowland「VARIETIE OF LUTE-lessons」の翻訳を連載されていましたが、めでたく完訳となったようです。英語とはいえ、古い英語ですので、正確に意味を読み取るのは私の手に余るところです。中川さん、翻訳してくださってどうもありがとうございます!

通して拝読すると、リュート習得の指針となるだけでなく、1610年ごろのリュート事情などを知る読み物としても楽しめます。皆様もどうぞご覧ください。

Robert Dowland-VARIETIE OF LUTE-lessons-preface

R.Dowland『VARIETIE OF LUTE-lessons』とは

『VARIETIE OF LUTE-lessons』とは、1610年ロンドンで、Robert Dowlandによって出版されたリュート曲集です。Robert Dowlandは有名なJohn Dowlandの息子で、父のあとを継いでジェームズ一世の宮廷に仕えました。

原典はIMSLPに公開されていますので、原文やタブラチュアを見たい方は以下からアクセス下さい。

この曲集は、表紙を含めて18ページにわたるリュートについての解説文があり、そのあと42曲のリュート作品のタブラチュアが続きます。なお書物のタイトルは「lessons」となっていますが、収録されている作品は、練習曲ではなく、比較的高い演奏技術が必要とされる作品ばかりです。
今回、中川氏が邦訳して下さったのは、作品に先立つ解説文の部分。

解説文の部分の構成

  1. 表紙+Robert Dowland による献呈文+読者への挨拶
  2. (フランスの)Jean-Baptiste Besard ジョン・パプティスト・ベサード(ブザール)によるリュートとその演奏法に関する必修資料
  3. John Dowland によるリュートに関するその他の必修資料

の大きく3つの部分に分かれています。それぞれ説明のために、譜例などが添付されています。

ブログ:リュート奏者ナカガワの「その手はくわなの・・・」

中川祥治氏のブログ:リュート奏者ナカガワの「その手はくわなの・・・」

上記のブログサイトから、目的の「VARIETIE OF LUTE-lessons」の翻訳ページを抽出するには

  1. 上記ブログアドレスにアクセスする。
  2. 画面右上の「記事を書く」の右側の検索窓に「VARIETIE OF LUTE-lessons」と入れる。
  3. 検索窓の右「ウェブ」ではなく、「このブログ内で」を選択して、虫眼鏡マークをクリックする。
  4. 連載記事の終わりの方から順番に出てきますので、一番最初(1)にさかのぼってから読んでいく。
    記事は(1)〜(82)まで


最初の記事(1)は2019年8月8日   
最後の記事(82)は2020年1月31日

▼要所でまとめたページがありますので、下記のリンクから読むと素早くアクセスできます。

*ジョン・ダウランドによる後半部分については、(65)〜(82)を順次ご覧下さい。

個人的メモ:装飾についてブザールの見解

この時代のイギリスの作品で、よく見られるのは#のような記号で書かれた、relishesとshakesと呼ばれる装飾音です。

これについて、ブザールは「シェイクを付けすぎるあまり、フレーズの姿が見えなくなるようなことがないようにしたいものです。」と書いているのが個人的に面白かったのでメモしておきます。中川さんが付記していらっしゃる見解にも同意です。

詳細は記事(41)をご参照下さい。

▼この曲集の演奏を聴いてみるなら。
さすが Nigel とても良いです。部分的に視聴できます。

CDの購入は▼

▼新しいリュート奏者による演奏。
やっぱり私はBallard の作品に惹かれます。トラックNo.8 

▼MP3だけど、このジャケット写真いいわ〜♡ お馬さんとリュート!