ヴァイス(S.L.Weiss)のロンドン手稿譜〜TREE EDITIONより刊行
バロックリュートのための作品を数多く残した、ヴァイス Silvius Leopold Weissのいわゆるロンドン手稿譜の復刻版が、TREE EDITIONより発売となったようです。
TREE EDITIONよりご案内いただいたメールより引用して紹介します。
画像もお借りしました。
楽譜の内容
<Silvius Leopold Weiss / Sigismund Weiss S.L.ヴァイス作曲>
The complete London Manuscript 完全ロンドン手稿譜
British Library, London / GB-Lbl Ms. Add. 30387 大英図書館所蔵
<ページ数>320ページ
<収録作品数>26のソロ組曲/35曲の単品/5曲の二重奏の組曲
<価格>140ユーロ+送料(Air mail 8ユーロ)
最も良質・美しい・安価な TREE EDITION
TREE EDITIONによると、今回の復刻版のアピールポイントとしては
- これまで出版されたうちで、最も良質な復刻版
- かつてなく安価
- 財宝のように美しい
とのこと。
シックな赤い布張りが美しい装丁です。
横長の形で、大きさはリュートの棹よりちょっと長いくらい。
楽譜を開いたところ。右ページを部分的に拡大してみると・・・
↓ クリックで更に拡大します。
とてもクリアで見やすいですね。
復刻版を入手する価値はどこにあるのか
現在では、手稿譜や印刷楽譜のデータをネット上で見ることが出来るようになりました。それなのに、このような出版される復刻版を購入する価値はどこにあるのでしょうか?
例えば、ネット上で自由に閲覧・ダウンロードできるオリジナルの楽譜があるとします。
数百年まえに出版されたとは思えないほど鮮明できれいなものもありますが、たいていの場合(特に手稿譜の場合は)汚れやインクの滲み、裏のページが透けて表の文字と重なっていたりして、非常に読みにくく、そのままプリンターで印刷して演奏するのは難しいことが多いです。
しかたなく、自分でPhotoshopの技などを駆使しながら、解像度とかコントラストとかを調節したり、汚れをとったりしてみるのですが、なかなか思ったとおりにキレイにはならず、何よりとっても面倒くさい。Photoshopはまあまあ好きな私でも、途中でいやになるほど面倒くさい。
もう数ページで根気が尽きる。この作業だれか他の人やってくれないかな・・・?となります。
復刻版の価値はここにあります。
ネットで閲覧できるようになる前の時代には、「高いなー」と思いながらも、しぶしぶ復刻版の楽譜を購入したり、図書館でコピーしたりしていて「これがオリジナルの楽譜の状態」ぐらいに思っていましたが、それはとんでもない間違いでした。
ネットでオリジナルの状態を見ることが出来て、たいていの元の楽譜は本当に読みにくく、タブラチュアの文字も判別しにくく、汚い楽譜が多いということを知ることになります。
面倒くさくて専門的な知識も必要な作業をこれまで出版社が代行してくれていたかと思うと、高い復刻版の楽譜も安いくらいだったなあ・・・と思うわけですが、それらの出版社の中にはすでに消滅した会社もあって、胸が痛みます。
そんな中で、TREE EDITIONは、リュートを専門に楽譜を出版している会社の一つです。
今回の楽譜も、この面倒くさい手作業を320ページもやってくれていてこのお値段なので、バロックリュート弾く方は持っていて損はないのではないでしょうか。
TREE EDITIONサイト紹介
トップページのみのあっさりしたサイトです。
下の方に、PDFが並んでいますが、
上から2番めが今回のヴァイスの楽譜の詳細、
Alphabetical ListingのPDFは 他の楽譜一覧、
4番目のCatalogue 4/2020 PDFを開いた左ページに注文方法が書いてあります。
注文方法
サイトにはショッピングカートはありませんので、記載されているメールアドレスに
- 購入希望する楽譜の名前
- 部数
- 送り先の住所、名前、電話番号、メールアドレス
- 支払い方法の希望(クレジットカード、Paypal、銀行振込が可能)
を書いて、メールします。ドイツ語でなくて英語でOKです。
すぐに受注完了と、支払い方法についての連絡がメール返信されてきますので、その通りにすれば何も問題ありません。
以前注文したときには、航空便で1週間〜10日ほどで届きました。
参考音源:ヴァイスのロンドン手稿譜
ヴァイス研究と演奏の第一人者、Michel Cardin氏によるそのものずばり「ロンドン手稿譜による作品全集」があります。
CD 12枚組! すごいボリューム・・。
『ヴァイスってどんな作風?』とちょっと聴いてみたい方は、↓から部分的に試聴できます。
全体を聴きたい場合は、定額で聴き放題サービスのApple Musicに加入がおすすめ。
アルバム全体または作品単品で、データ購入したい場合は、iTunes Store ↓からどうぞ。