現代曲「胡蝶」〜明清楽へのオマージュ〜が発表になり、月琴の歴史に新しい1ページが加わります
何と!ピリオド楽器である明清楽・月琴のために現代曲が作曲され、近日初演されることとなりました。月琴演奏を私が勤めさせていただきます。
桐朋学園大学音楽学部作曲科による 第40回作曲作品展 公演情報
チラシのダウンロード chirashi_cwe20180615
<日時>2018年6月15日(金)18:30開演(18:00開場)
<場所>東京オペラシティ リサイタルホール(京王新線初台駅)
<入場料>1000円(全自由席)
<プログラム>
・原島拓也 「胡蝶」明清楽へのオマージュ
〜バロック・フルートとハープとチェレスタとテノールと月琴とヴァイオリンとヴィオラとチェロのための〜
ほか、作曲科在籍中の学生さん7名の作品。
<主催>桐朋学園大学音楽学部
<お問い合わせ>桐朋学園大学演奏課 tel 03-3307-4158
*チケット販売中です。このメールより私にご連絡ください。
CD「月琴 MOON LUTE」がきっかけとなった?!
この現代曲「胡蝶」〜明清楽のためのオマージュ〜は桐朋学園大学音楽学部作曲専攻研究生の原島拓也氏が、私のCD「月琴 MOON LUTE」に着想を得て、今年度の修了作品として作曲して下さったものです。
さらにめでたいことに、第40回作曲作品展に選出され、上演の運びとなりました。
私に月琴演奏の依頼メールがあり、そこで初めてこの経緯を知り、大変驚きました。
現代曲ということで「私に弾けるだろうか?現代音楽の楽譜が読めるだろうか?指揮と合わせられるだろうか?・・・・」という(主に自分の能力に関して)数々の不安はありましたが、この記念すべき事柄に立ち会っておきたい気持ちもあり、お引き受けすることにしました。
それにしても、このような展開になるとは!
これだけでもCD「月琴 MOON LUTE」を制作した意義があったと思います。
これは歴史的事件です!
月琴(明清楽)は、19世紀初めに中国から長崎に伝えられ、一時的には全国的に流行したものの、大正時代以後は衰退し、長崎でのみ伝承されてきたものです。
その間に、歌詞を差し替えた替え歌や、邦楽/洋楽への流用はしばしば行われてきたことですが、昭和以後ここ100年ぐらいの間、新しい曲が追加されることはありませんでした。
今回この明清楽月琴のために新しい作品が生まれたことは、その歴史において画期的な出来事です。
なお、明清楽の月琴とは、中国・清朝の月琴が日本でガラパゴス的に保存されたもの(いわゆるピリオド楽器/古楽器)を指します。本拠地・中国で現在演奏されている月琴は、いわゆるモダン月琴であって、両者は構造も様式も全く異なるものです。
古楽器の例にもれず、明清楽月琴も演奏上の制約が多く、その素朴な機能をどう現代曲に生かすか、原島氏は自らこの楽器を購入して研究なさったということでした。
タイトル「胡蝶」とは?
楽譜に記されたノートによると、原島氏の作曲活動と明晰夢が密接な関係にあること、そして「蝶々」もまた特別な存在であることを踏まえ、荘子による説話「胡蝶の夢」にインスピレーションを得て作曲されたそうです。
合奏の編成は、上記の公演情報に記した通り、実に様々な楽器と歌によるもので、私にとっては生のチェレスタと一緒に演奏というのがおそらく一生に一度の貴重な体験になるのではないかと思っています。
このような編成もまた、明清楽が中国由来の楽器(清笛や胡琴など)だけでなく、琴や三味線などの邦楽、ヴァイオリンなどの洋楽の楽器とも合奏していた歴史を反映しています。
この稀有な機会に立ち会うべく、どうぞ皆様ご来場ください!
CD購入は web shop 「リュートのある暮らし」サイト よりどうぞ