古典と現代作品との狭間で〜音楽劇『羽衣』鑑賞

SPACの俳優で劇団「音乃屋」を主宰なさっている関根淳子さんの公演、音楽劇「羽衣ー三保の伝承にもとづくー」を觀に出かけました。

音楽劇「羽衣〜三保の伝承にもとづく」チラシ

 

関根さんとは「恋愛中毒」「ロバのおうじ」「月琴で綴る龍馬の手紙」とこれまで共演させていただきましたが、知的な解釈、大胆でありながらも繊細な演出、そして細部までの役の作り込みに、私はいつも感心するやら驚くやら、毎回すごいなーと圧倒されっぱなしです。

 

今回はそんな関根さんによる脚本・演出・天女役で、狂言の川野さん、邦楽の新保さんとともに、古典的題材「羽衣」を元にした新作を発表するという意欲的な公演。

 

日本の伝統芸能については全く未知なので、見るもの聴くもの、どれもこれもが珍しく、強く興味を引かれました。川野さんによる狂言の解説、新保さんによる三味線、能管、篠笛の楽器説明が純粋にとっても面白くて、私はまるで小学生のように反応していたかも。

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さらに関根さんの大学時代の恩師、東京大学名誉教授・船曳建夫氏を迎えてのアフタートーク。

文化人類学がご専門という船曳先生のお話で、さっきまで「演劇」の一作品として觀ていた「羽衣」が、一挙に、全世界の人類共通の何か、例えば「物語の型」や「異界と人間の交流」や「言葉がある場合と器楽だけの場合の表現の違い」や「同じ現象が離れた地域で同時に起きる不思議」・・などスケールの大きな話となり、西洋の古典を考える上でも大きなヒントにもなりました。

全体に、いかにも関根さん演出らしい、とても知的好奇心を刺激される公演でした。

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どの世界でも古典を保存・継承しつつ、それを現代社会でやることの意味を模索し、古典を元にして新しい作品をその歴史に加えていく試みがなされています。

リュートや古楽の世界でもいろいろと議論がありますが、音楽だけでなく別のジャンルではどういう状況なのか、視野を広く持って眺め、どういう方法がその芸術の未来を明るくするのかを考えるとよいのかもしれませんね。

自分が好きな音楽や芸術が、未来も続いていかなくては意味がありません。かつて伝統が途絶えそうになったリュートは 特にそのことを考えなくては。

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関根さんとは、秋に朗読音楽会「月琴で綴る龍馬の手紙」公演が決定しています。より良い公演になるよう、身を引き締めて臨みたいと思います。

 

西方寺の石仏

今回「羽衣」公演の会場となっていた西方寺(西巣鴨)のお庭にあった石仏です。

シーサー(?)の足の爪先や、大口開けているところや、飛び出した目玉が可愛らしい。