『婦女弾琴図』(信方・筆)<リュート絵画>
前の投稿の続きです。
▶リュート奏者必見!「クアトロ・ラガッツィ 桃山の夢とまぼろし」展
ビウエラを弾く女性を描いた作品『婦女弾琴図』(信方・筆/大和文華館所蔵)について。
2018年長崎県美術館にて開催されている「クアトロ・ラガッツィ 桃山の夢とまぼろし」展で、当作品に添付されていた解説をメモしてきたので、転記しておく。
無背景の中に、現在のギターの前身とされるヴィエラ・ダ・マーノと称される楽器を爪弾く女性像。
他の初期洋風画作品に比べ、やや上下に縮まった人物のフォルムと、口元の表現に象徴される丸みを帯びたふっくらとした表現が印象的である。
画面左下に、「信方」と推定されている落款とともに捺された西洋紋章風の印があることから、この印章のある作品群は、伝信方の作として分類されている。
「信方」の作例としては、いずれもイエズス会画派系と同様のモデリングと陰影法をもって描いた人物像を、無背景の中に描く、という特徴を持つ。
三次元の絵画空間を目指した初期洋風画にあって、「信方」作品に見られる東洋の絵画空間を思わせる虚空表現、そして<日教上人像>(青蓮寺、兵庫県)等の日蓮宗にかかる主題を描いているいることから、「信方」作品群の制作時期を禁教後とし、さらに棄教した画家とする見方がある。
「クアトロ・ラガッツィ 桃山の夢とまぼろし
ーーー 杉本博司と天正少年使節が見たヨーロッパ」展
2018年11月23日〜2019年1月27日 長崎県美術館にて
作品に添えられていたキャプションよりメモ・転載
最後の部分についての参考記事。
▶神戸市立博物館『西洋二武人図・師父二童子図』(伝信方筆)